第11回

僕は「2000年のパラリンピック(シドニー)に出たいな」と、
思っている。
そろそろ準備を始めなきゃいけないのだが、
水泳部の指導や研修などがあり、
自分の練習のために泳ぐのは、物理的に難しい状態だ。
しかし、自分が速くなるのも大切だが、子どもたちが楽しく水泳を
できるように教える醍醐味や、おもしろさも確かにある。
うちの学校のプールは50メートルが9コースあるが、
僕がプールサイドから子どもたちを指導するとき、
その泳ぎを把握できるのは基本的に1コースと9コースだけだ。
僕には泳ぎが見えないので、陸に面したコースでないとわかりにくい。
速く泳ぐためには、力強く水をかくことと、抵抗を少なくすることの、
両方を、バランスよく伸ばしていかなければならない。
指導者はそれらを頭におきながら、
個々にあった指導を行わなければならない。
僕がプールサイドにいたのでは、2コースから8コースの生徒を、
適切に指導することができない。
そうなるとただ泳がされているだけになってしまう。
だから、僕もプールに入って、生徒のすぐ近くや後ろを泳いで、
水のかき方やくせなどをみるようにしている。
僕は泳ぐことが大好きで、プールに入るからには泳ぎたいと思うが、
子どもたちを伸ばしてやりたい気持ちも同じくらい、
いや、それ以上に強い。
それが僕の競技者と教師の両立のジレンマ、と言えば、
言えるのかもしれない。
子どもたちは「先生、泳がないの?」と聞いてくれるが、僕は
「きみたちを見守るのが仕事だから、いいの、いいの!」と、
やりすごしている。
だって子どもたちは今がシーズンなのだ。一番伸びる時期なのだ。
県大会や全国大会に出る夢をかなえてやりたい。
リレーメンバーになれない人には、なれるようにしてあげたい。
そんな中で、僕は5分間程度の生徒の休憩時間だけ、
泳いでみたりしている。
とても練習にはならないが、水泳は一生続けるつもりだし、
まだ年をとっているわけじゃないから、
「現役選手としてやる気を持ち続けること」と、
「不摂生をしないこと」を、
心がけていればいいんじゃないかと考えている。

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