第14回
十九日から夏休み。
僕が中学生のころ夏休みは水泳ばっかりしていた。
昔は「休むと人から遅れをとる」という感覚だったが、今は、
「さらに飛躍するために積極的に休養する」という考え方に、
学校も、親たちも変わってきていると感じる。
僕も教師になって初めての夏休みを積極的に休養したい、
と思っている。
四、五、六、七月と教師になって三か月半。早かったなあと思う。
「仕事以外に何かしたの?」
「何も!」
学校に行ってるか、寝てるか、家と学校の往復だけだった。
でも、充実していた。
「つらい仕事だけど、やりがいがあるだろう」と思っていたけど、
本当だった。あこがれの仕事に就いてみて、
自分の中で「仕事をこなせている。できている。」と、
思えることが多くありうれしい。
教師という仕事について自分が予想していたことと、
実際の学校現場はほとんど違わず、
理想と現実のギャップに苦しむことはほとんどなかった。
授業を受ける立場から、授業をする立場へ逆転してみて、
気付くのは、自分がかつて言われた通りのことを
生徒たちに言っているということ。
「継続は力なり。毎日こつこつ続けようね。」なんて
すぐ言っちゃうんだけど、僕がいつも言われてきた言葉だ。
「一日何時間、勉強が必要だね」なんていうのも、
自分がやったかどうかは別にしてよく言っている。
「あのころ先生や親が言ってたことは真実だったんだな、
先生の願いや親の気持ちだったんだな、」と思いながら言っている。
目が見えない僕にとって、
生徒の声と名前を一致させられるかどうかが最初の難関だったが、
今は、担当の一年生と水泳部だけでなく、
ほかの学年の生徒の名前も覚える余裕が出てきた。
学校全体を広い目でみられるようにもなってきたようだ。
「やっぱり時間が解決してくれることはあるなあ、、、」と、
しみじみ感じている。