第15回
僕が務める舞阪中学校(静岡県浜名郡舞阪町)では、
全校生が一冊ずつ「かがやき」という名のノートを持っている。
予定表と日記帳が合体したようなもので、毎朝、担任に提出し、
帰るときまでに返される。僕が在校していたときからあったので、
少なくとも十年以上は続いている。
一学期の途中から週一回、ボランティア部の生徒たちが、
自分の「かがやき」ノートの日記部分を点字で書いて、
僕のところに持ってくるようになった。
ボランティア部は、今年出来た部で、二十人くらいいるのだろうか。
老人ホームや保育園を訪ねたり、清掃活動をしたり、
点字を勉強したりしている。
点字はだれもが読めるわけではない。
だから、点字が正しく書けているかを確かめることができないし、
ただ書くという作業になりかねない。
そこで、僕が点字を読み、返事を書くことで、点字が一つの
コミュニケーション手段であることに気づいてくれればと思っている。
そして、何よりも、みんなが喜んでくれているようなので、
それがまたぼくにとってもうれしい。
点字の日記はだいたい金曜日に届けられる。
授業のこと、部活のこと、プライベートなこと、
いろいろなことが書かれている。
僕は副担任のクラスを持っているが、一日に学活と給食の時間しか
一緒にいられないときもある。
授業中に全員に声を掛けるのは難しい。
一人一人が何を考え、どんなことで悩んでいるか、
生徒たちとよく話をすることでわかればいいのだが、
なかなかできない。そこで日記を読んで、
「あぁ、この子はこういう子なんだ、」と知る。
僕にとっても、とてもうれしいことだ。
僕が受け持っているのは一年生だけなので、二、三年生とは
直接の面識はなかった。それが、点字日記の交換によって、
いろんな生徒の名前を覚えるきっかけになった。
教員はだれでも、生徒のことをもっともっと知りたいと思っている。
僕は目が見えないが、いろんな情報から、
一人一人の生徒を受け入れていく準備に日々努めている。
そうやって子どもたちに少しでも近づきたいと思っている。