第17回
水泳の中体連・静岡県大会に舞阪中の水泳部から、
七人が出場することになった。県大会に出場するためには、
最初の郡市の大会と次の地区大会をともに九位以内で、
上がってこなければならない。舞阪中の水泳部員21人は、
一年生も含めてほとんどが西部地区大会に進んだが、
県大会への壁を越えられたのはわずかだった。
「やっぱり県大会に出るのは難しいなあ」というのが率直な感想だ。
教師になり、初めて部活指導をした。一学期を振り返ってみると、
最初のころに感じた部員たちの覇気の無さは、解消された。
「なぜかなあ?」と考えてみると、
やはり、記録が縮んだことが一番なのだろう。
僕が指導するようになった四月から、
部員たちはそれまでの倍近くの距離を泳ぐようになり、
六月ごろから大会のたびにみんなベストを出すようになった。
彼らにはもともと「タイムを縮めたい」という強い要望があるのを
僕は感じていた。
それに応えることができなければ、僕は彼らに信頼してもらえない、
と思っていた。
「結果が出てよかったなあ」と、いま本人たちも感じているだろう。
生徒たちと僕は、いくら仲がよくてもただの友達同士じゃない。
指導者である僕には成果が求められているのだ。
それは教科指導でも同じで、どんなに楽しい先生だって、
正しく分かりやすく教えてくれなければ、子どもたちは認めない。
そういうところはとてもシビアなものだ。
わずか三か月で10秒、20秒、バーンとタイムを縮めた部員たち。
その成長ぶりに僕は感動した。
自分が試合で勝つのとはまた違ったうれしさだった。
指導者は選手がスタート台に立つまでしかできない。だからこそ、
それまでにできるだけ力になりたいと思う。
そして、彼らがいい結果を出せたとき、それは彼ら自身の力なのだ。
僕は自分の好成績を人のおかげと思うたちなのだが、
生徒の好成績に関してはなぜか逆の考え方になっている。
僕の性分だ。
今後は、壁にぶち当たった生徒をどう指導するかが課題であろう。