第20回
夏休みが終わる。
仕事に追われていて、休みらしいことはほとんどできなかったけど、
一つだけ、ものすごく楽しいことをした。
八月九日、家から歩いて15分くらいの大きな公園で開かれた、
サザンの野外コンサートに行ったのだ。
「今日はとことんやる」と桑田さんは言って、4時間近くやった。
僕は翌日の早朝から仕事だったが、「徹夜でもいい、やれー」と、
歌って踊った。
一緒に行った両親も張り切っていて、父親も歌って踊っていた。
親とも一緒に行けるのがサザンの一つの良さだ。
僕がサザンをよく聴くようになったのは大学に入ってから。
「カラオケでサザンが歌えるとかっこいいなあ」と聴き始めて、
歌うようになった。
しかし、教員になってから音楽を聴く暇がなくなった。
極端に言えば、あの曲が聴きたいと思っても、CDを探し、
換えるのがおっくうなほど、スイッチを入れるのがめんどうなほど、
忙しく、疲れていた。だから、チケットが取れたとき、
思い切り好きな音楽にひたって楽しもうと心に決めたのだ。
七月ごろにベストアルバムを買って、暇さえあれば聴いて、
予習を重ねた。
覚えておかないと一緒に歌えないからだ。
アントニオ猪木のテーマで登場したサザンは、5万人の観衆を
一人残さず引き付けた。ステージに近い人だけじゃなく、
会場にいるすべての人を感動させていた。
どんな方法であれ、人を感動させるのはすごいなあと思う。
五万人を感動させる桑田さんの目配りってすごいなあ、そして、
それをあの人たちは20年間続けてきたんだなあ、
と、しみじみ思った。
最後の曲あたりから花火ががんがん上がって、
僕はもう「踊らにゃそんそん」状態で舞い上がっていたが、
そんな中でふと思った。
授業も同じだ。つまらなければだれも聞かない。
肝に銘じたのだった。