第26回
障害者スポーツは、あくまでスポーツであって、リハビリとは違う。
「劣っているから『普通』に追いつこう」とか「マイナス1を0に戻そう」
とか、そんな考えでやっているのではないのだ。
あらゆるスポーツの目的は自己を高めること。障害者でも
健常者でも、同じ「1」の努力をしたら同じ「1」だけ進んでいる。
それがスポーツだ。
障害者スポーツが、スポーツとして扱われてこなかった
理由の一つに、行政の問題がある。
「スポーツ」は文部省の管轄なのに、「障害者スポーツ」は
厚生省なのだ。
盲学校、養護学校、ろう学校など学校での体育や部活は、もちろん、
文部省の管轄だが、卒業後に同じ競技をしようとすると、
厚生省の管轄になってルールが違ったりもする。
中高生の競技選手は多いのに、パラリンピックに出場する中高生が
少ないのも、縦割り行政の弊害だろう。
選手への報奨金は、オリンピック選手には出るが、
パラリンピック選手には出ない。もちろん僕にも一円も出なかった。
「サッカーくじ」が始まると、文部省にお金が入って、
スポーツ振興に使われるだろうが、厚生省のテリトリーである
障害者スポーツのためには使われないだろう。
ただ、障害者スポーツにお金のかかる特別な設備が必要か?
というと、そうでもない。たとえば、水泳で必要になるのは、
車いす用のスロープとプールサイドのマットくらいで、水に入れば同じ。
僕は早稲田大学の水泳部に入れてもらえたが、
それは全盲の選手用の設備が整っていたからではなく、
組織に障害者を受け入れる心の広さがあったから、そして、
個人個人に合ったものを教えようとする指導者がいてくれたからだ。
できる子どもを伸ばすのはだれでもできる。
個人個人に合った指導で伸ばすのがプロだ。
教員になって、僕はいつも思っている。