第27回

文化祭まであと1ヶ月。
メーンイベントの校内合唱コンクールの練習が各クラスで
盛んになってきた。
僕のクラスは先月下旬の体育大会で、ずーっと練習していたのに、
クラス対抗「背中渡りリレー」で勝てなかった。
チームワークが大事、とか言いながらも、やはり体育大会というのは、
運動能力の高い子どもの多いクラスが勝つのだ。
しかし合唱は違う。努力がそのまま報われると思う。
うまい、下手より、一生懸命歌うことが心を打つ。
だから子どもたちは「次こそは!」と合唱コンクールにかけている。
そんな中で、ちょっとした事件があった。
僕のクラスの音楽の時間中、男女別パートに分かれて合唱の練習を
している時に男子がふざけた。
音楽の先生は「もう歌わなくていい」と合唱の指導をやめ、
教科書を先に進む授業に代えた。
僕は音楽の先生からこのことを聞いて、
「ピンチはチャンスだ」と思った。クラスがバラバラになるか、
まとまるかは、ピンチの乗り越え方次第だ。
副担任の僕の立場としては、励ますか、冷たく突き放すか、
どちらかだが、今回、僕はあえて冷たく突き放すことにした。
合唱をすごくやりたがっている子が多かったので、そう判断した。
ふざけた連中をみんなに対して謝らせたうえで、
「うちのクラスはコンクールを辞退する」と言って僕は教室を出た。
翌日から子どもたちはひそかに練習をし、音楽の時間に、
先生に聴いてもらい、「先生抜きでは勝てない。また教えてください」と
許しを請うたのだった。ドラマみたいだけど、
そんなことが日々、起こっているのが学校なんだ。
合唱コンクールは、僕が在学していたころからあり、
僕がいたクラスは一年と三年の時に優勝した。僕は一年と二年の時、
指揮者を務めた。
合唱に少々こだわりがある僕は、子どもたちが
「笑顔を忘れてしまった君に」という曲を選んでくれたことが
とてもうれしい。

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