第31回
地元の小学校の四年生の国語の授業に招かれて、
質問を受けたり、体験を話したりした。
教材は「手と心で読む」という説明文。
事故で目の見えなくなった主人公が点字を身につけて、自分の世界を
広げていくという内容だった。学習が進んでいくうちに、
「点字を実際に使っている人に話を聞いてみよう。そして、
障害者について学ぼう」ということになったらしい。そこで、
同じ地域に住んでいて、中学校の教員をしている僕に依頼があった。
「点字は難しいですか?」「一人暮らしをしていたときに、
目が見えなくて困ったことは何ですか?」
「水泳で目が見えなくて、困ることは何ですか?」など、
子どもたちはたくさんのストレートな質問をぶつけてきた。
僕はいつも中学生に向かって話しているので、
小学四年生にわかる話ができるか心配だったが、できる限り
わかりやすく伝える努力をして答えてみた。
授業前、ある担任の先生から「『障害を負った人はかわいそうだ』と
いう感想を持っている子どもが多いので、
そんなことはないよ、と伝えてほしい」と頼まれた。
難しいなあ、と思いながらも、僕はいつも感じているように
「目が見えなくても全然寂しくないよ」と言い、
「みんなも、いろんなことが大変でも、しっかりやらなきゃいけないよ」と
願いを込めて話した。
僕が住む舞阪町に小、中学校は一つずつしかなく、
授業で出会った子どもたちは三年後、舞阪中学校に入り、
僕の教え子になるだろう。
みんなとても素直で、先生の言うことにみんな従っていた。
無邪気でほほえましかったが、
このまま中学生になるわけはないのだ。必ず変わるし、
変わらなければいけないとも思う。
けんかしないで仲の良いつきあい方はわからないのと同じで、
人は悩んだり、すねたり、反発したりすることで、一番成長するのだと
思う。
「また中学で会いましょう」。そう言って、僕は子どもたちと別れた。
その日が楽しみである。