第33回

先月下旬、連休を利用して東京へ行った。
高校、大学と七年間もいると、友達や水泳仲間、
お世話になった人たちが山ほどいる。
今年四月に郷里(静岡県浜名郡舞阪町)で教員になってから、
会いに行こう行こう、と思いつつ、ここまできてしまった。
土曜日、部活が終わってから、午後四時半ごろ新幹線に乗り込んだ。
東京に着いて、高校時代の親友と落ち合った。
彼は高校卒業後、郷里の大阪でマッサージの勉強をし、今は東京で
マッサージ師として働いている。
アトランタパラリンピック前からお世話になっていたトレーニングの
先生の家に一緒に行った後、親友の部屋に落ち着いた。
夜中の十二時ごろ、高校時代の友達三人を呼び出して、
五人で飲み始めた。僕は疲れていて、すぐに寝てしまった。
翌日は朝七時くらいに一度起きたのだが、寝てしまって、
ちゃんと起きたのは昼前だった。
午後は、アトランタでもバルセロナでもずっとお世話になってきた、
スポーツ用品店のご主人を、水泳仲間五人で訪ねた。
僕と親友のほかは、全盲ではないが視覚障害のある男性と、
左手を切断した女性、右足を切断した男性だ。
みんな、ここのご主人にはお世話になっている。
たとえば僕のような全盲の選手は、光が入らないように塗りつぶした
ゴーグルを競技中につけなければいけないのだが、ご主人は、
「塗りつぶせば同じだから」と、傷のついたようなものなどを
供給してくれている。
その夜は、水泳仲間と練習をして、高校時代の恩師、
寺西真人先生の家に泊まって、ほかの水泳部OBも呼んで、
午前三時ごろまで飲んだ。
翌日は、東京で一人暮らしをしている大学生の弟と、ラグビーの
早慶戦をみた。
久しぶりの東京を歩くと懐かしく感じるだろうと思っていたが、
まったく普通だった。
満員電車も、なんだかいつもの光景のようだった。
僕はまだまだ東京人だなあ、と思った。

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