第6回

シドニーオリンピックまであと四か月あまり。各競技で代表が決まっている。
代表選考を兼ねて四月中旬に開かれた水泳の日本選手権を毎日ビデオに録画し、
帰宅してから見ていた。
世界記録が生まれ、日本記録も次々に更新されて、
「オリンピックイヤーで選手のレベルが上がっているなあ」と驚かされた。
僕はオリンピックの代表選手をうらやましく感じることがある。
充実したコーチングスタッフと施設があり、
力を伸ばす環境の中で存分に泳ぐことができるからだ。
障害者スポーツでは、記録や成績を向上させるための環境づくりは健常者と比べて
まだまだ遅れている。
報奨金を例にとっても、オリンピック選手には出るが、パラリンピック選手には出ない。
意外かもしれないが、オリンピックとパラリンピックの選手が同じプールで一緒に
泳ぐことはほとんどない。
管轄する組織が違うため、積極的に交流を図ろうとはして
こなかったためだ。
立場は違うが同じ競技者だ。接点があればお互いが刺激になり、
レベルアップにつながる、と僕は考えている。
オリンピック選手からは、泳ぎの技術はもちろん、日本代表としての意気込みを
感じ取れるだろう。
パラリンピックの選手は「日本の障害者の代表」という意識が強い。
それは、まだ障害者スポーツが国内で、確固たる地位を得ていないからだろう。
「日本の代表」として、声援を送られないから、意識が芽生えにくいのだと思う。
僕たちから伝えられるのはハートの部分。
「より速く」と全身の機能の限界に挑戦して泳ぐ姿から、何かを感じてほしい。
技術、体力だけでなく、ハートで戦っている。
そんな思いがパラリンピック選手の誇りでもあるのだから。

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