第18回

シドニー・パラリンピック開幕まであと三十一日

五日に一、二年生の職場体験学習があった。
うちの学校では初めての試みで、受け入れる側も初めて。
公共機関をはじめ、幼稚園や保育園、老人介護の現場、商店、ホテルや民宿、
中小企業の工場、石材屋など六十か所が二百五十人の生徒を受け入れてくださった。
仕事場に生徒を受け入れることは、能率や利益の面でプラスになることはない。
むしろ負担になるのが当たり前だ。
生徒たちには、そのことをわかった上で行ってほしかったので、事前に三つのことを注意した。

笑顔であいさつをしよう(受け入れる側の気持ちも違ってくるから)
丁寧な言葉づかいを心がけよう(日ごろ先生に対して友達のような言葉を使っているから)
やる気を持ってのぞもう(気持ちは、態度に現れるから)。

僕は時々様子を見に行った。
商店で値札を付けたり、掃除をしたり、石材屋で石彫りをしたり、シラス干し工場で、
ゆでたシラスから小魚やカニを取り除いたり・・・・。
生徒たちは本当に一生懸命やっていた。

だいたい掃除なんて、学校では一生懸命やる子は相当少ない。
それが職場では、隅の方が取れないなんていって、徹底的にやってる。
僕はびっくりした。こういうのが仕事の心構えってことなんだ。
教室の中より得るものは大きいんだろうな。
僕の中学時代にはなかったことなので、とてもうらやましかった。
こういうのをやってたら、僕も今ごろ教員じゃなかったかも、なんていろいろ考えた一日だったよ。
後で、知ってるおばさんが電話をくれて、「中学生たちはよかったよ」とほめてくれた。
うれしかった。

二十一世紀を担っていくのは、この子たちだ。
いままでは大人とかかわる機会がなかったけど、年に一回でもこういうことがあると、
町内に縦のつながりができて、お互い声もかけやすくなる。
町にとってもいいことじゃないかな。

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