第20回

シドニー・パラリンピック開幕まであと十七日

オリンピックの入場行進は長くてイヤという人もいると思うけど、あれこそ世界地理の勉強だ。
アナウンサーが国ごとに産業とか国旗とか民族衣装とかを解説してくれるし、
何より、世界にはあれだけ多くの国があるとわかるからね。
日本選手団のマントはどうだった? 
パラリンピックとオリンピックで日本選手は同じユニホームを着ることになっている。
僕はテレビをみながら一つの疑問がわいてきた。 「僕もあの格好で歩くのかなぁ?」

開会式の翌日にはメダルがポンポン三つ出た。よかった。
特に女子柔道の田村亮子選手は僕と同い年だし、
お互いバルセロナから 3大会連続の出場なので、個人的に応援していた。
バルセロナでは僕も銀メダルまでしか取れなかった。アトランタでは幸い僕は金が取れた。
そして田村選手は今回、金メダルを獲得した。
はたして僕はどうだろうか。
オリンピックが近づいてきて、田村選手の発言で目立ったのは「最高でも金、最低でも金。」
なぜこんなことを言ったのか、僕にはわかる気がする。
女子柔道をここまで有名にしたのは彼女だ。その功績は大きい。
シドニーでも同じようにマスコミに応対し、取材を受けながら、優勝を成し遂げた。
ああやっていくことが、人々に関心を持ってもらう一番の方法だ。
僕ができるだけ取材に応じるようにしているのもそのためだが、彼女に比べるとまだまだ冷たい。
僕は障害者スポーツのことをもっと知ってもらいたい。
全盲の教師がいるんだと広めてもらいたい。
自分のためだけに没頭していると、有名にするチャンスを失う。
田村選手のように僕もがんばろう。功績の上でも負けないようにしよう。
喜びに満たされて終われたらいいな。
早くシドニーに行きたい。出発は十三日。

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