第22回
シドニー・パラリンピックが今日二十九日、閉幕する。
といっても、僕はこれを、シドニーへ出発する前に書いてるんだけどね。
僕の泳ぎは、みんなに届きましたか?。
パラリンピックの期間中、僕はどんなふうに過ごしているかというと、
まず、ひとつひとつの行動に、とても気を配るようになりますね。
事故やけがは万が一にもあってはならないから。
選手村は初めていく場所なので、寝室、シャワー、トイレ、台所などの配置をおさえておく。
いつもよりゆっくり歩く。
共同の食堂はバイキング形式で、二十四時間使えるし、
日本食が食べたければ、自室で作ることもできるんだ。
飲み物なんてボタンを押すだけで出てくるよ。
銀行や郵便局、ビリヤード上、ボーリング場、ディスコ、マッサージ、床屋さんまであって、
なかなか居心地はいいですよ。
僕は、毎日朝六時ごろ起きて、散歩して、食事して、プールに出かけ、
練習して、予選に出場して、クーリングダウン。
ここでいったん選手村に帰って昼ご飯。
一時間くらい昼寝してから、またプール会場に行って、練習して、決勝レースに出て、帰ってくる。
レース前には、そのレースでどういう泳ぎをするか、もう一回、イメージトレーニングをする。
あとはあまり深いことは考えない。
自分に勝つことがブラインド(競泳の全盲の部)の真髄だ。
観客はレースを見ているが、僕は自分自身を見ている。
隣の選手と競っているのを見てスパートかけるとか、タッチ勝負になって横に人より早くタッチをしようとか、
それは、あくまで見えている人の話。
「抜くぞ」という気持ちのラストスパートが自分にかけられるかが、大切なんだ。
そういうラストスパートで泳ぎきることを、みんなに約束したいと思います。