第23回
この紙面が出るころ、十月十八日から十二日間にわたるシドニー・パラリンピックも幕を閉じ、
僕は帰国しているはずだ。
二十九日の閉会式をどのような思いで迎えるのだろうか。
バルセロナ、アトランタの経験からいうと、閉会式の雰囲気はとても和やかだ。
ほかの国の選手たちと会話を交わし、Tシャツやスイムキャップ、ピンバッジなどを交換する。
閉会式の後のパーティーでは、みんな踊りまくってる。
もちろん僕も「踊らにゃそんそん」と、はじけているよ。
僕はあまり英語が得意じゃないけれど、ほかの国の選手たちには
単語をつないでどんどん話しかける。
聞き取りも、その場では何とかなるものだよ。
相手が本気で喋ってきたらダメだけどね。
同じレースで競い合った選手だからこそ、レース後はよきライバルとして、
お互い特別な思いが芽生えるんだろうな。
僕のライバルは、アメリカのケリー選手とイギリスのティモシー選手。
前回の大会で、僕と同じB1クラスに出場した全盲の選手たちだ。
僕にとって、レースは自分との戦い。ライバルを意識して泳ぐというわけではない。
でも、国内では圧勝していても、世界の舞台では接戦になるし、緊張感も味わえる。
そういう意味で、ライバルの存在は大きい。
二人とは「また、シドニーで会おうな」といって別れたから、約束は果たせたと思う。
ただ、オリンピックよりも他国の情報が入りにくいから、
大会直前になってもライバルのようすなどはわからないのが現状だ。
レース後、市内観光やショッピングも楽しみの一つ。
バルセロナでは、サグラダ・ファミリア(聖家族教会)などの名所めぐりをしたり、
パエリアを食べたりした。
アトランタでは、靴を何足も買ったっけ。
シドニーでは、どんなことをしようかな?。