第30回

僕はいま二年生の担任なんだけど、クラスで読書癖をつけようと、
新年から「十分間読書」を始めた。
毎日、「帰りの会」で、十五分のうち十分は本を読む。
漫画じゃなくて活字の多いものなら何でもいい。
どういう効果があるかわからないけど、とりあえず習慣づけようと思っている。
僕も子どもたちも活字離れは深刻だ。
これからはパソコンがもっと当たり前になって、なおさら本を開かなくなるんじゃないかな。
「枕もとに愛読書」なんて死語になるときが来るんじゃないかな?。
でもね、僕自身が中学生時代に本を読んでたというわけじゃないから、
えらそうなことは言えないけど、本ってすごいと思うんだ。
夏目漱石の「坊ちゃん」は明治時代に書かれてるけど、
今の子どもたちでも読める。源氏物語や平家物語だってある。
紀元前にソクラテスの言ったことだって読める。
「古いこと言ってるなあ」じゃなくて、今でも通じることがあるんだ。
十分間読書を始めるにあたって、僕は生徒に「真の強さを見つけてほしい」と言った。
人に対して優しいのが強さだ。強いものほど人に優しくなれる。
今、歴史の時間にガンジーの非暴力主義を勉強しているんだけど、
暴力に対して暴力で向かっていくとそこで戦争なんだよね。
当時の映像を見ると、無意味なことをしているように見えるけど、それがやがて
世界の大きな考えになっていった。
そんな考えを学びとるためにも本は役に立つ。
本を読んで楽しい思いをしたら、また次の本を探すようになる。
それを後押しするのが僕の仕事だ。

僕はあまりいい本に出合った思い出がないんだけど、それは当たり前。
いい本に出合うためには本を読まないとね。
どんどん読んでいくなかで「人生の一冊」が生まれるんじゃないかな。

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