第31回
僕が暮らす舞阪町には、ほとんど雪が積もらない。
学校にはストーブが一つもなくて、他県の人にはよく驚かれるほど。
だから、雪には強いあこがれがあるんだ。
そんな僕にとって、冬の楽しみの一つはスキー。板もブーツも持っている。
目が見えていた小学生の頃、両親がよく連れて行ってくれたが、
本格的に始めたのは高三のとき。大学時代もよく行った。
さすがにアトランタ・パラリンピック前には控えたけれどね。
視覚障害者はどうやってスキーをするのかというと、いろいろなパターンがある。
まず、後ろを滑る人にトランシーバーで誘導してもらう方法。
イヤホンをつけ、その指示を聞きながら滑る。
次に、前走者の音を頼りにする方法。
伴走者は、ストックとストックをカチカチと打ちながら、誘導する。
急な斜面では、前走者もストックをたたきながら滑ることはできない。
その場合、改良したハンドマイクを背負って指示を出す。
防犯ブザーを使うこともある。
あるとき僕は、防犯ブザーを鳴らしてもらい、一キロくらいザザーッと下っていったら、
ゲレンデにいた人や、、リフトに乗っていた人に注目されてしまった。
視覚障害者がスキーをするときの条件は、ゲレンデが空いていること。
人が多いと、ぶつかる危険性も高まるからね。
ゲレンデの幅が広いことも大切だ。
白杖を持って歩くときと違って、スキー場では視覚障害者ということがわからない。
だか ら、ゼッケンをつけたり、派手なウエアを着て目立つようにする。
一時期、僕は本気で長野パラリンピックをめざそうと思ったことがあった。
でも、一人では練習ができないし、道具などにもお金がかかる。
水泳はせいぜい水着一枚 で済むからね。
でも、長野では聖火ランナーとして参加できたから、満足している。
今年は、1回ぐらいスキーに行けたらと思う。
シドニー前で自粛していたから。